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「まっ、とりあえず。安岡のことは、安岡に任せるしかねぇよ。
腹減ったし……、なんか食おうぜ」
そう言いながらアレンはおもむろに立ちあがって私を促すから、床に寝たままの安岡さんに毛布をかけて、私も立ちあがった。
廊下に出た後、なんとなく後ろ髪引かれて振り返ると、アレンは私を見て軽く肩をすくめた。
「心配するなって。安岡はヒモだし、どうしようもなくいい加減なやつだけど、嘘つきじゃないんだろ?」
意地悪な顔をして、以前と同じことを言う。
「……そうだよね。安岡さんは嘘つきじゃない。
みんなで暮らすために、ちゃんと話合わなきゃね」
「そのためには歩生、お前の妄想を、もちっと抑えなきゃな」
絶対ニヤニヤしている声色が横から聞こえた。
うぅ、釘刺された……。
私はあえてスルーを決め込み、早足で台所に向かった。
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