安岡さんの秘密

16/26
前へ
/103ページ
次へ
* 「アレン、インスタントラーメンでいい?」  私は戸棚からインスタント麺を2つ取りだした。  安岡さんがいない時用の、私の常備食だ。  女子力の話はここではしないでおこう……。 「あー、いいけど……」  アレンは歯切れ悪く答えながら、ダイニングテーブルに頬杖をついた。  やっぱり、インスタント麺じゃ嫌かな……。  無視だ。無視。 「あのさ、歩生。お前さぁ」  アレンの呼びかけに、鍋に水を入れながら答える。 「ん? なに? 味噌ラーメンしかないよ」  鍋に火をかけて、冷蔵庫を開ける。  モヤシと、あとは……、ウィンナーでいいか。  それから、卵2個あるわ。  それらを取りだしてアレンに向き直ると、思いの外真剣な顔をして私を睨み付けていた。 「なに? ウィンナーじゃなくて、ちゃんと肉にしろって?」 「違うし。お前さ……、安岡と結婚しねぇか?」 「はあっ!?」  ぐしゃっ 「あ……」  手の中で生卵が割れた……。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加