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「アレン、インスタントラーメンでいい?」
私は戸棚からインスタント麺を2つ取りだした。
安岡さんがいない時用の、私の常備食だ。
女子力の話はここではしないでおこう……。
「あー、いいけど……」
アレンは歯切れ悪く答えながら、ダイニングテーブルに頬杖をついた。
やっぱり、インスタント麺じゃ嫌かな……。
無視だ。無視。
「あのさ、歩生。お前さぁ」
アレンの呼びかけに、鍋に水を入れながら答える。
「ん? なに? 味噌ラーメンしかないよ」
鍋に火をかけて、冷蔵庫を開ける。
モヤシと、あとは……、ウィンナーでいいか。
それから、卵2個あるわ。
それらを取りだしてアレンに向き直ると、思いの外真剣な顔をして私を睨み付けていた。
「なに? ウィンナーじゃなくて、ちゃんと肉にしろって?」
「違うし。お前さ……、安岡と結婚しねぇか?」
「はあっ!?」
ぐしゃっ
「あ……」
手の中で生卵が割れた……。
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