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世間から見て、同じ部屋に帰る男女が結婚しないで暮らしているというのは、不純なのだろうか? たとえ『シェアハウスです』と言っても、非常識だろうか……。
「歩生がどういうつもりか知らねぇけど。俺はお前たちがデキても、ここを出ていかねぇからな」
「デキても、って……。あのね、アレン」
「おい、アレン、ちょっと来い」
いい加減うんざりして文句を言おうとしたら、突然安岡さんが現れた。
そして怖い顔をして、アレンに向かって行く。
「あっ! 安岡さん、気がついた?
いや、ちょっと、待って! 乱暴はだめだよ!」
アレンは男だけど身体はめぐみさんなんだから、取り扱いに気を付けてもらわないと!
私が声をあげて立ちあがると、安岡さんは険しい顔をしたまま私に向き直った。
「大丈夫だ。ちょっと話をするだけだから」
そう言ってアレンの腕を掴んで(めぐみさんの腕でもあるのよ!)立ちあがらせる。
アレンは素直に立ちあがると、
「なんだよ、助けてやったんだろう? もっと優しく扱えよ~」
文句とは裏腹に悪い顔をして笑う。
「助けた?」
アレンは頷いて、安岡さんを流し目で見た。
「さっき、安岡が困ってただろ? だから、首絞める真似してやったんだよ。
コイツ、ちゃっかり気を失ったフリしてるからさ、一つカシのつもりでいたんだけどな」
「本当なの? そんなに言いたくなかったの?」
安岡さんは私の言葉を無視してアレンから手を離すと、キビキビとお茶の準備を始めた。
その姿は『これ以上何も言うなオーラ』全開だ。
「やすおかぁ~、俺も俺も、紅茶な」
アレンは座り直して、安岡さんのオーラに気を止めない。それどころか、含み笑いまでしている。一体どういうこと?
「立花さんも?」
「えっ? う、うん、うん」
不意にそう訊かれて、私は勢いよく首を縦に振った。
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