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テーブルの上には、3人分のマグカップに入った紅茶。
お茶うけは、役所で同僚からもらった『ウエストのリーフパイ』が10枚、お気に入りのお皿の上に乗っている。
それらを挟んで私とアレンの前に座った安岡さんは、私達4つの瞳に注目されて居住まいを正していた。
「それで? 何か言いたいことがあんだろう?
早く言えよ~。告白だろ? 告白だよな?」
口火を切ったのはアレン。
なんか、嬉しそうに安岡さんを煽ってる。
えっ? ちょっと、なに?
なんか、ドキドキするんですけど……。
「あぁ? ん、まあ、告白……、ではあるな……。
本当は、言うつもりなかったんだけど、もう、しゃーねぇな……」
安岡さんは嫌そうにしながらも、
「まあ、いい機会かもしれねぇな……」と少し緊張気味に言った。
「あのな、最初に言っておくけど。
俺の居場所は、もうここしかないんだ。
それだけは了承してくれな」
一気に早口でまくしたて、
「俺さ、戸籍ねぇんだわ」
それまでの緊張が嘘みたいに、あっさりそう言った。
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