安岡さんの秘密

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****  テーブルの上には、3人分のマグカップに入った紅茶。  お茶うけは、役所で同僚からもらった『ウエストのリーフパイ』が10枚、お気に入りのお皿の上に乗っている。  それらを挟んで私とアレンの前に座った安岡さんは、私達4つの瞳に注目されて居住まいを正していた。 「それで? 何か言いたいことがあんだろう?   早く言えよ~。告白だろ? 告白だよな?」  口火を切ったのはアレン。  なんか、嬉しそうに安岡さんを煽ってる。    えっ? ちょっと、なに?  なんか、ドキドキするんですけど……。 「あぁ? ん、まあ、告白……、ではあるな……。  本当は、言うつもりなかったんだけど、もう、しゃーねぇな……」  安岡さんは嫌そうにしながらも、 「まあ、いい機会かもしれねぇな……」と少し緊張気味に言った。 「あのな、最初に言っておくけど。  俺の居場所は、もうここしかないんだ。  それだけは了承してくれな」  一気に早口でまくしたて、 「俺さ、戸籍ねぇんだわ」  それまでの緊張が嘘みたいに、あっさりそう言った。
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