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「おいおい、安岡、そっちかよ~。俺はてっきりさぁ~」
「なんだよ、そっち、って? どっちを期待してたんだ?」
2人が軽口たたいている間、私の頭の中では『無戸籍を解消する方法』のマニュアルページが頭の中を捲れ荒れた。
そうだ、確か戸籍を就籍する方法は……。
「あのさ……、日本で生まれたんだよね? だったら……」
「安岡、んで、お前の母親は生きてんのかよ?」
私の質問に被せるように、アレンが口を開いた。
「あぁ。母親なぁ。実はさ、どこにいるのか、知らねぇんだわ。
あ、けど、たぶん俺、日本で生まれていると思う。
証明するもの、なんにもないけどな……」
安岡さんは戸惑いつつアレンに答えた後、律儀に私と目を合わせて答えた。
「証明するもの、何もないの? だったら……」
「じゃあ戸籍がないから、結婚できないってわけか?」
今度は私の言葉が切れた後に、アレンが口を挟む。
証明がない? お母さんがどこにいるかもわからない?
じゃあ、どうしたらいい?
私の頭の中では、相変わらずマニュアルのページが捲られていた。
何か方法があったはず。たしか、たしか……。
「立花さん。リーフパイ、もらうなぁ」
安岡さんはリーフパイの袋を開けながら、話し始めた。
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