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「じゃなくて!!
そうやって……、そういう顔をするだろうなって、わかるから言いたくなかったんだよ!
あのな。俺が無戸籍なのは立花さんのせいじゃないし、役所のせいでもねぇよ!
それに、立花さんがどういう関わり方してきたにせよ、受付の対応がやたら親切でニコニコしてたとしても、俺が生まれた証明がなきゃ、戸籍はもらえねぇんだよ!」
安岡さんは怒った顔で一気にそう言った後、急に眉毛を八の字にして
「頼むから、泣かないでくれよ~。
俺が悪かったからさ……。
ほら、リーフパイ食べなよ。あれ、うまかった。
あれ? あ、わりぃ。もうねぇみたい」
キョロキョロしながらそう言った。
決壊した涙腺が言うことをきかないから、ボタボタ垂れながしのまま、ぼやけた視界でテーブルを見渡した。
「うぅ。ひどいよ! 私がもらってきたのに!」
「ごめん、ごめん。おい、アレン、お前いくつ食ったんだよ?」
「俺、3枚だけだぞ。安岡が食いすぎなんだ!」
アレンに指摘されて、安岡さんが足元のごみ箱に目をやる。
「わりぃ。マジ、うまかったから……」
ゴミ箱の中は、リーフパイが入っていた透明のビニール袋で溢れていた。
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