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「38度6分。うーん、ちょっと高いね」
めぐみさんは体温計をより目になって見つめると、ケースにしまった。
「たくみもね、たくさん泣いた翌日は、大概熱を出して……、歩生さんも今日一日ゆっくりしていたらきっと下がると思う。
あ、ごめんなさいね。子供と一緒にして……」
少しだけ眉毛を下げて申し訳なさそうな顔をするけど、優しい雰囲気を醸し出している。こういう時のめぐみさんは、あぁ、お母さんだぁと改めて思う。
「ううん。めぐみさんありがとう。今日は一日寝てるからもう大丈夫だよ? 小池さんのところに行く約束してるんんでしょ?」
めぐみさんは、私のおでこに冷却シートを貼りながら、
「じゃあ、行くね。良い子にしていてね」と、すっかり子供扱いのセリフを残して立ちあがった。
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