納戸の意図

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 因みにめぐみさんとアレンは、それぞれ自分たち用の携帯電話を持っている。  いや、『持っている』どころか、アレンはパソコンも2台持ちで、部屋の中が会社みたいになってる。で、何をしているかというと、先月から携帯アプリ関連の仕事を始めた。  何でも、携帯のアプリを開発して、それをベンチャー企業に売るのだとか……。  これが馬鹿にできない収入を叩き出しているから驚いた。  めぐみさんの収入を超えて、私の月給と並ぶレベル。  アレンはもともとコンピュータ関連が好きなんだけど……、今まではコンピュータどころか、携帯電話さえ持てなかったらしく……。  こっそり家を抜け出しては、本屋でIT雑誌を立ち読みしていた、のだとか。  対してめぐみさんは、コンピュータなんて全く未知の領域らしく……。携帯の操作さえ、SNSを通してアレンに質問している。  片方の人格が特化している才能を、片方はまるでわからないというのは、DIDの特徴でもあるんだって。  アレンは『できるやつが、やればいいんだよ』と言う。  これも二人が和解して、ある程度人格チェンジのルールみたいなものが確立したからこそ、できることだと思う。  今二人は、主に昼間はめぐみさん、夜はアレン、みたいなチェンジになっている。  時々不安定になることもあるし、その都度揉めることもあるけど、何とかそのローテーションで日々過ごしている。  だから私は、朝食はめぐみさんと、夕食はアレンと一緒に食べて、合間にはなちゃんと遊ぶ。そして安岡さんをちょっと苛めてみたり……、の毎日。  3人とも、あ、安岡さんも含めて4人とも、私の大切な『家族』のような存在だ。  
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