思いがけない再会

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*彩矢* 「えっ? さ、佐野さん!」 宅配業者の格好で荷物を持ち、目の前に立っている人は、どう見たって間違いなく佐野さんだった。 だけど、どうして佐野さんが宅配業などやっているのだろう。 「久しぶりだね。元気だったかい? あ、、これ荷物、ここへ置くね」 佐野さんは引きつった笑顔でそう言うと、上がりかまちに荷物を置いた。 「じゃあ、ここにサインお願いします」 そう言ってボールペンと受け取り票を差し出した。 何を言っていいのかわからず、指示された小さな四角の枠の中に、松田とサインをしていると、 「ママ~ 、だれ?」 しまじろうのDVDを見ていた悠李が顔をのぞかせた。 「あ、悠李……」 佐野さんの顔がさらに緊張して、悠李を凝視した。 「こんにちは~!」 最近、挨拶することを覚えた悠李は、誰にでもこんにちはを連発する。 「こ、こんにちは。あ、挨拶が出来るなんてすごいな。年はいくつだい?」 佐野さんが遠慮がちに悠李に話しかけた。 「2さい! 悠李ね、プレスクールにいくの」 ぎこちなくピースサインをして、悠李は得意げに話をした。 「そうか、友達たくさん出来るといいね。……あ、じゃあ、これで失礼します」 佐野さんは終始落ち着かない様子で、慌てて出て行った。 佐野さんが、佐野さんが……。 ーー悠李に会いに来てくれた。 思いもよらず、成長した悠李を見てもらえたことが嬉しい。 こんなことって……… 今でも信じられない。 また、来てくれるだろうか。 そうだ、また通販で買い物しよう!
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