桜の舞う公園で

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この間、LINE交換を断って泣かせてしまったことにも罪悪感があった。 会って何をしてあげることもできないけれど、彩矢ちゃんの気が済むのなら、悠李の動画を見てあげることくらいしてもいいのではないかと思った。 悠李の動画は俺だって見たい。 車を降りて公園へ向かった。 悠李が滑り台に登ってすべり降りると、また階段を登り始めた。 滑り台のてっぺんに登った悠李が、俺を指さして叫んだ。 「あ、たくはいのおじちゃんだ!」 彩矢ちゃんが驚いた顔で振り向いた。 「佐野さん!」 「ご、ごめん、驚かせちゃって。最近、ずっとお昼はこの辺に停めて食べてるから……」 「…………。」 彩矢ちゃんは下を向いたままで、無言だ。 悠李が滑り降りてきて、俺たちを不思議そうに見つめていた。
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