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「わ~ いい眺め~! 羨ましいな、駅近でこんな素敵なマンションに住めるなんて。ウチなんか窓あけたら隣りの壁よ~」
そう言って蓮くんママは、ベランダのレースのカーテンを開けた。
「蓮くんとこのマンションだって、便利なところじゃないの。うちなんか駅までバスに乗らなきゃいけないんだから」
瑠奈ちゃんのところは去年新琴似の郊外に戸建てを買ったらしい。
「でも、やっぱり戸建てはいいですよね。お庭にお花なんかを植えたりして」
ガーデニングなど趣味でもないけれど、一応そう言ってみた。
「そんなこと、いつになったら出来るのかしら。下の子が幼稚園に行くまでは無理ね」
瑠奈ちゃんママは、抱っこしていた赤ちゃんに早速、おっぱいを飲ませ始めた。
「あら、雪花ちゃん、今日は大人しく寝てるのね」
蓮くんママが、雪花のベビーベッドをのぞき込んだ。
「可愛い。雪花ちゃんはママに似てるね。ねぇ、彩矢さんのご主人ってさぁ、物凄くイケメンじゃない? 悠李くんはパパ似なんでしょう?」
「……イケメンってほどでもなくて」
「え~ だって、悠ちゃんはかなりのイケメンだよ。もう、今からメッチャ楽しみじゃない?」
「……そうかな」
「あ、そうだ。ねぇ、結婚式の写真見せてよ!」
蓮くんのママがそう言って、瑠奈ちゃんママも賛成した。
「見たい、見たい! どこで結婚式挙げたの?」
「あ、……私たち出来ちゃった婚で、式を挙げられなくて」
お願い! これ以上なにも聞かないで。
「そうなんだ、ウチと同じ。でも私は式挙げたよ~! 蓮が6ヶ月になってたから、結構おなか目立っちゃったけどね」
「……あ、ごめんなさいね。お茶も出さないで。コーヒーの方がいいですか?」
慌ててキッチンへ向かい、話題から逃れた。
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