潤一の野望

1/9
前へ
/374ページ
次へ

潤一の野望

*彩矢* ライラックの咲く頃となり、来週からは札幌祭やよさこいソーラン祭りなどが始まる。 梅雨のない北海道の六月は、朝晩は少し肌寒いけれど、とても過ごしやすい。 最近になって潤一は、週末よくゴルフへ行くようになった。 先々月、教授の公開オペがあって、第一助手を務めた潤一は、どうやら教授のお眼鏡に叶ったようなのだ。 相性も良かったのか、すっかり意気投合したようだ。 「医局の上下関係は俺には向いてないから、出世なんて諦めてたけどなぁ。俺にもやっとツキがまわって来たって感じだな。開業医も捨て難いけどな。俺、腕がいいから流行るだろ? なぁ、彩矢、おまえは開業医の妻と、大学教授の妻だったらどっちがいい?」 「…………」 まだヒラのくせに、既に助教か准教授にでもなっているかのような口ぶりだ。
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加