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「…………は?」
あまりに予想外の言葉に、柳奏汰は間の抜けた声を出した。
「あのさ、亜澄…………えっと、今なんて…………」
しぼり出すように問い返した奏汰に対し、宮野亜澄は、いつものように表情一つ変えずに、機械的に先ほどと同じ言葉を繰り返した。
「柳くんが私に好意を持ってくださるのでしたらお付き合いすることはかまいません。ただし、条件が三つあります。一つは、次のテストで合格ラインを超える点数をとること。一つは、付き合うのが卒業までの期間限定であるということ。そしてもう一つは、その間、お互い、相手の身体には触れないこと。その条件を全て承諾していただけるのでしたら、柳くんとお付き合いします」
淡々と告げる亜澄。二度目ということもあり、奏汰はその内容をなんとか理解はできた。しかし、頭はいまだ混乱したままだ。
なんだその条件。成績優秀な亜澄と付き合うのなら、それ相応の成績が必要ってことなのか?…………まぁ、それはまだいい。でも、卒業までの期間限定ってなんだ?卒業なんてもうすぐじゃないか。それ以降は付き合えないって、なにか理由でもあるのか?それに、お互いの身体に触れないって、手もつなぐなってことか?それって付き合ってるっていうのか?
意を決しての告白。それに対する、あまりに予想外で、そして事務的な答え。
それまでも感じていた亜澄との距離。告白により縮まると信じていたその距離は、まるで巨大な壁でもできたかのように、さらに遠のいたように感じた。
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