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「…………なるほどね。奏汰のやつ、それでこの間から必死になって勉強してるってわけ」
小さな折りたたみテーブルの前に座り、自室のようにくつろぎながら芽衣子は呆れた様子で言った。
「でもさぁ、すごいよね、その条件」
そう言うのは、芽衣子にことの成り行きを説明した和斗だ。芽衣子の向かい側で同じくくつろいでいた和斗は、テーブルに広げたお菓子を頬張った。
「ほんと、何様って感じよね。さすがは亜澄様ってことかしらね」
亜澄様。それは、高校二年の終わりにこの学校へと転入した亜澄についた呼び名だった。
成績優秀、清楚な外見。けれど、その呼び名の一番の理由は、その冷たい雰囲気からだった。感情を表すことは皆無で、口調も常に事務的。そんな雰囲気から、いつしか『亜澄様』と影で呼ばれるようになっていた。
「っていうか!勉強してるってことは、奏汰のやつ、その条件をのんだってことなの!?」
信じられないといった表情で言う芽衣子に、和斗は「そういうことだろうね」と、また一つスナック菓子を口へとほうり込みながら言う。
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