67人が本棚に入れています
本棚に追加
「このバカが!って思ったら、勝手に体が動いてた。」
胸の奥が、温かくなる。
「……偶然じゃなかったんですか?」
「偶然通りかかったら、無視するだろ。」
嬉しい。
間野さんに怒られてるのに、嬉しくてたまらない。
「気が済んだら、さっさと寝ろ。」
「はい。お休みなさい。」
頭の裏がくすぐったく感じる。
あの間野さんが、私を心配して、一人でお店に来て、私達を見張っていたなんて。
可笑しくてクスクス笑いながら、ベッドに入った。
寝返りを打つと、そこには絹花と間野さんの写真が。
二人で顔を寄せ合って、間野さんは絹花の頬に、チューしている。
途端に思い知らされる現実。
すぐ隣には、もう一つ枕がある。
たぶん、絹花が泊まりに来た時に、使ってる枕だろう。
このベッドには、絹花も寝ている。
胸が締め付けられた。
やっぱり私が、ソファに寝ればよかった。
苦しくなりながら、夜は更けていった。
最初のコメントを投稿しよう!