第3章 年下の男の子

11/21
前へ
/35ページ
次へ
「このバカが!って思ったら、勝手に体が動いてた。」 胸の奥が、温かくなる。 「……偶然じゃなかったんですか?」 「偶然通りかかったら、無視するだろ。」 嬉しい。 間野さんに怒られてるのに、嬉しくてたまらない。 「気が済んだら、さっさと寝ろ。」 「はい。お休みなさい。」 頭の裏がくすぐったく感じる。 あの間野さんが、私を心配して、一人でお店に来て、私達を見張っていたなんて。 可笑しくてクスクス笑いながら、ベッドに入った。 寝返りを打つと、そこには絹花と間野さんの写真が。 二人で顔を寄せ合って、間野さんは絹花の頬に、チューしている。 途端に思い知らされる現実。 すぐ隣には、もう一つ枕がある。 たぶん、絹花が泊まりに来た時に、使ってる枕だろう。 このベッドには、絹花も寝ている。 胸が締め付けられた。 やっぱり私が、ソファに寝ればよかった。 苦しくなりながら、夜は更けていった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加