第3章 年下の男の子

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その時、バラバラっと音がした。 カバンの中身を、タクシーの中に、ばら蒔いてしまったのだ。 「あちゃあ~」 急いで中身を拾いだす。 「ほら。」 優しいんだが、怖いんだか。 間野さんは、目の前に転がった財布を、拾って渡してくれた。 「……有り難うございます。」 「これで最後か?」 「ああ……」 急いでカバンの中を、見渡す。 「あれ?」 キーケースがない。 部屋の鍵が、入っているって言うのに。 私は、席の周りを探してみる。 「何か足らないのか?」 「あの……キーケースが……」 「キーケース?」 間野さんも、背中を丸めて一緒に探してくれる。 「ないな。運転手さん、一旦停まって下さい。」 「はい。」 タクシーは、人のいない場所で一旦停止。 ドアが開き、間野さんは外に降りて、座席の下を探してくれた。 「先輩。もういいです。」 「いいわけないだろ。」
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