67人が本棚に入れています
本棚に追加
髪の毛をバスタオルで拭きながら、間野さんは低い声で、こう聞いてきた。
「財布、触ったか?」
「いえ。」
「嘘つくな。位置がづれてる。」
ええ~!!
細かいところに、気づくな~!!
私がちらっと財布を見ると、間野さんはそれを、手に取った。
「レシート、見たのか。」
そ、そこまで!
もう、言い逃れはできない。
「すみません!」
私はソファの下の床に正座して、間野さんに謝った。
「いや、いいよ。」
それだけ言うと、間野さんはソファに、再び横になった。
「あ、あの……」
「いいから、お前も寝ろ。」
少し間を開けて、私は立ち上がった。
このまま、聞きたい事も聞けず、気になったまま、眠れるのか。
そんな訳ないと思った。
「先輩も、同じお店に来てたんですね。」
間野さんからの、返事はない。
「お友達とですか?レシート、別清算になってたんで。」
最初のコメントを投稿しよう!