俺の幼馴染は、意地っ張りで可愛い。

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ずっと一緒に過ごしてきたお前に、恋をしていると気づいたのはいつだったか。 明確にその想いを自覚したのは中学の頃だったか。 ーーもう止めよう、そのチョコはお前への想いが込められてる。俺が食べちゃ、ダメなやつだろ。 そう言われた瞬間に、湧き上がったのは怒りで。 お前と過ごすこの特別な時間を、止める?好きでもない女の為に?巫山戯るなーーと、そこまで思考して、ようやく気付いた。何で、好きでもないやつから贈られる、好きでもないチョコレートを笑顔で受け取っていたのか。 結局、強引に押し切ってやった。お前はきっと、俺の想いに気付いてないんだろう。今は、それでいい。必ず堕としてやる。そう決めてから、早7年。 ーー俺が差し出したチョコを、蕩けた眼で見つめていることに…お前は気付いていないんだろうな。ほおを僅かに紅潮させて、薄く開いた唇。そこからのぞく真っ赤な舌が、俺を誘惑する。 この7年間、少しずつ距離を縮めてやった。その度に逃げようとするお前を、強引に引き留めながら。流石にもう我慢の限界が近づいてるわけだ。そろそろ喰ってしまいたいと思う、がーー素直になれないお前に免じて、もう少しだけ猶予をやろう。身体を繋げるにはまだ準備が出来てないだろうしーー何より、どろどろになるまで甘やかしてやりたいから。 …だがな。歳を重ねるごとに、お前から向けられる感情は強まっていて。それを、必死に隠そうとしているお前にも気づいてる。そんな状況で、触れることさえ出来ないのは、生殺しだろう。なぁ、俺たちは両想いのはずだろう?それなら…その唇を貪るくらいは、許してくれないか。 「ーーなあ、お前さ…俺に、惚れてるんだろ?」 そう、耳元で囁いた瞬間ーー咄嗟に逃げようとする身体を引き寄せて、俯く顔を覗き込む。…はは、いい顔だ。諦めろ、逃がしてやるつもりはないんだ。 ゆっくりと近づけた唇がーー避けられることは、なかった。 ーーあぁ、バレンタインは…好きだ。いや、好きな日に、なった。お前の心を手に入れた日。幼い頃から、お前と俺を繋ぎ続けたこの日が…大好きだ。
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