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「おまえのはジャム入りのチョコレートじゃなくて、チョコレートの皮を被ったジャムだからな! 化けの皮はがれた瞬間凶器だぞ。いいか、ラズベリージャムは単体で食うもんじゃない!」
マサトから飛び出た感想に再びえー、といいながら、せりなは下がっていった。
姉のなずなと違って髪が長く、空手よりもスマホゲームが好きな現代っ子らしい中学二年生だった。たまに、好奇心だけでさっきのような突飛なものを作る。
姉と妹の友チョコ作りにマサトは味見役として使われるので、二月十三日は毎年のように戦場だった。主に、なにを食べさせられるかわかったものではない胃袋が。
何年か前に、耐えかねたマサトが姉妹に向かって自分で味見すればいいだろうといったことがあるのだが、太るから嫌だと突っぱねられた。これだから女子は。
そのくせ、受け取った友チョコは二人とも残さず平らげていたりする。女というのはよくわからない生き物だった。
けれども、友達のためにせっせとチョコレート菓子を作る健気さは、素直にいいなと思える美点でもある。
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