日曜日の森

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店員さんは、キラキラしたナイフのような物をケーキの下にくぐらせ、マジックのようにスッとケーキをショーケースから取り出した。 ショーケースには他にもたくさんのケーキが並んでいて、甘い匂いと可愛らしいケーキで幸せな気分になれる。 『お誕生日ケーキ作ります』 の看板が目に入り、誕生日を懐かしく思う。 「お客様?」 元旦が誕生日だから、ケーキがお餅になった事がよくあったな…… 「……お客様?」 今思えば大した事ではないが、小学生の頃とかは悲しかったな…… 「お客様!」 「はい!」 突然店員さんに大声で呼ばれて驚いた。 「こちらの2点でよろしいですか?」 店員さんが箱に詰められたケーキを私に見せてきた。 「はい、よろしいです」 店員さんは少しだけ笑みを見せて、レジを打ち、こちらがお金を払うと笑顔で「ありがとうございました」と見送ってくれた。
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