スイッチ

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「そう、スイッチ。仕事の時だとそのスイッチを押してるんだよね」 森部長は自分の事を確かめるように頷いている。 『スイッチを入れる』 気合いを入れているという感じなのだろうか? 「じゃあ、スイッチは自分の意思で押すって事ですか?」 自分の意思なら今、私と話す時でも押す事ができる。 森部長は組んだ腕を片方外して頬に当て、少し考えてから話し出す。 「うーん……意思は、ないんだよね。勝手に押してるというか……でも、家に帰って押そうと思っても押せないんだよね……」 森部長は……わかっている。 仕事の時とプライベートの時の自分の違いを。
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