スイッチ

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その日の夜、森部長がインターホンを鳴らして昼休憩に渡す予定だった品物を持ってきてくれた。 私は、昨日森部長が忘れていったスニーカーとサンダルを渡した。 渡した時に 「これは誰の?」 と、忘れていった事さえ気付いていない森部長だったので、部屋の床が汚れているのではと思い、玄関に置いてあるウエットティッシュを渡してあげたら、ウエットティッシュの使いやすさに感動したらしく、次の日の朝早くからお礼を言いに来た。 その日の夜には、ベランダで自分で作ったウエットティッシュの歌を大声で歌っていたので、また他の住人に迷惑がかかるかもと、すぐに注意しに行った。 何度も「すいません」と謝る森部長との毎日が、私の毎日に変化を加速しながら与えて行った。
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