しっかりナナミ

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私はもう片方の手を15階のフロアにかけ、森部長が登ったように壁に足をかけようとするが、私の靴の裏はツルツルで、うまく足がかからない。 「ナナミさん、もっと上の方へ…手を私の腕の上の方へ回してください」 森部長に言われた通りに手を届く範囲で一番上の方まで伸ばし、森部長の腕に掴まる。 森部長は、私の腕をぐるりと巻くように自分に腕に絡ませて、力強く握る。 「引き上げますから、痛かったら教えて下さい」 「はい」 既に掴まれた腕が痛かったが、私を助けようと真剣になってくれている森部長に心も掴まれていて、痛みなんかどうでもよくなった。 掴まれた腕から私の鼓動が森部長へ伝わりそうで、早く上に上がって手を離したかった……
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