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「せーのっ!」
森部長のかけ声に合わせて滑る靴を壁に押し当てて上へと蹴る。
同時にフロアの床についた手を下へ押す。
「ほっ!!」
森部長がしっかりと腕を引いてくれたおかげで、私もスルッと登る事ができた。
エレベーターの外へ出られた安心感と、握った腕を離してもらえる安心感で、大きく息をはく。
「ふぅ~」
「ナナミさん大丈夫でしたか?どこか打ったりしませんでした?」
15階のフロアに座り込んだまま、森部長は握った腕を離す事なく、私の全身を目で確認する。
「……ありがとうございます。大丈夫です」
ドキドキとした鼓動が伝わっていそうで、早く腕を離してほしくて目を合わせずに言ってしまうと、森部長は心配して腕を掴んだまま、更に近寄った。
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