しっかりナナミとおっちょこちょい森さん

しっかりナナミ

「ナナミさんは何にします？」

森部長が淹れたインスタントコーヒーからいい匂いが伝わる。

その匂いを嗅いで、自分がどうしたいのか、何を感じているのかが、ハッキリとわかる。

「私も同じ物がいいです」

私の言葉に、インスタントコーヒーの瓶を引き出しに戻そうとしていた森部長の手が止まる。

「同じ物って……コレ…ですか？」

森部長は首を傾げながら不思議な顔をして、戻そうとしていたインスタントコーヒーの瓶を私に見せる。

「はい」

私の返事に更に不思議な表情になった森部長だったが、私は自分の答えを不思議には思わなかった。