しっかりナナミ

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「雪……やんできましたね」 話を元のレールへ戻す事はやめにした。 今は、もうここから出て、家に帰って休みたい。 告白した事は後悔していない。 その事を忘れてしまっている森部長へムカついてもいない。 ただ、ひとつ言えるのは、心が震えるような事でも、すっかり忘れられる森部長がうらやましかった。 森部長へ惹かれた理由のひとつに、すっかり忘れられる森部長があったのかもしれない。 今更気付いても遅いとわかり、それも忘れられなくて、また森部長をうらやましく思う、の繰り返しをするしかないのかと、窓の外のやみ始めた雪と風を見ながら思った。
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