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そのアイツの罪を着せられたのは、もちろんお母さんだ。23にもなったあいつに、わざわざ肩を貸す必要もないはずなのに、ともかく、お母さんは妊娠させられた彼女や、その両親に、それこそ額が地面につくほどに土下座をし、それを見てとても複雑な顔をしている彼女を僕は見て、あいつのやったことは大罪である、そう確信した。
だがあいつの行方は家族にだって掴めない。彼はセックスの後始末など、家族同様にどうでも良いことであったのだ。
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彼女はどうやら妊娠を決意したらしい。本当なら、お見舞いに行きたいところであるが、あいつの弟である僕が彼女の見舞いになんて行けるはずもない。彼女が今後どんな風に兄の子供に接していくのだろうか、そんなことを考えながらも、兄の子供であろうと、子供には元気で生まれて欲しいと思う。子供に罪はないとはこのことだ。
テレビをつける。兄の一見があってから、僕はしょっちゅう、セックス後に男が逃げる事案の批判番組的な物を録画して見ている。
何故そんなものを見るのか?それは兄のようにならぬように、男の残酷さというものを勉強したいがためだったのかもしれない。
ブルーレイをつけて、ハードディスクに保存しておいた、「父親がいない、その時彼女は」という番組を選択する。
内容はこうだった。どっかの高校の先生が、巧みな話術で女子生徒を誘い込み、猥褻な行為の後に女子生徒に妊娠をさせてしまう。
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