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郊外の住宅地からさらに外れた林の中にある小さな廃屋。
以前は公園の管理倉庫として使用されていたが、統廃合により取り壊し待ちのように放棄されている。
こんな場所は秘密基地として遊びに使われればまだいい方で今は大きな不良グループの連絡場所となってしまっている。
その中で川端が現金を数え、集計をしている。
「岩本さん、今日の合計っす」
川端が計算した結果のメモを受け取る岩本は顔をしかめる。
「最近、稼ぎが伸びねーな、単価上げるか」
「これ以上上げたら他に客を取られるだけだと思いますけど」
「川端、お前はこれぽっちの稼ぎで満足なのか?」
「満足とは言いませんけど、普通のバイトに比べれば」
「小せーなぁ、リスク犯してんだからでかいの狙えや」
「じゃあ、バイト(売人)増やしてエリアを広げますか?」
「それがなかなか使える奴がいなくてよ、分け前上げろだ、持ち逃げするわ、バカが多くてな、そんな事しても潰すだけだっての」
「仕切るのも大変なんすね」
「そういや、お前、西商にツレいんのか?」
「まさか、県内屈指の進学校に俺とつるむ物好きなんかいるわけないじゃないっすか」
「仲良さそうに話してる所を見た奴がいてよ、なぁ紹介しろよ」
「それ多分近所の顔見知りと挨拶してたくらいっすから、紹介なんて無理ですっよ」
「あそこは金持ちも多いらしいじゃねーか、しかも、可愛い女をエサにすりゃあ結構いい金ズルに当たるかもよ」
「お堅いやつらには手を出さない方がいいっしょ、バラされたらそれで終わりっすから」
「世間知らずのガキなんざ、適当に脅せばいい、うまくいけばお前も楽できるぜ」
「もう、その話はやめてくれませんか、俺の仕事は終わったんで帰ります」
川端は苛立ちを見せて立ち上がるが岩本はまだ絡む。
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