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「薙って、本当にオレのこと好きなの?」
クラシックが流れる、喫茶店の窓際の席。
初夏の夕日が射し込む中、対面に腰掛けた恋人の義成が今にも泣き出しそうな顔をしながら問いかける。
ああ、まただ……。
これまで付き合った男たちから、このセリフを何回聞いただろう。
「好きだよ」
迷わずそう言えば、彼は満足してくれるんだろうか。
でも、私はその言葉を決して口にしない。
いや、正しくは口にすることができない。
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