3.ここから

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「俺はちゃんと雅のこと、 女として見てるけど」 『は?』と発したのは私じゃ無い。 それよりも先に 芳が問い返したのである。 「それ、どういう意味だよ」 「俺、雅となら付き合える」 その言葉が頭の中をぐるぐる廻る。 …こ、これは非常にマズイ状況だ。 だって、そんな、健介ッ。 >ねえ、雅。 >絶対、内緒にしてね。 >私、健介のことが好きかも…。 入社早々、祐奈は私にそう打ち明けた。 だからその恋を応援しますよと 彼女を励ましたのに。 本人不在の場で、 どうしてそんなことを言い出すのか。 取り敢えず健介の手を根性で引っぺがし、 自分で自分の手を擦りながら私は訊ねる。 「ゆ、祐奈と私だったら、どっちが…。 いや、あの、参考程度の質問だと思って。 具体的に祐奈がどうとかじゃなく、 祐奈は比較対象として出しただけでッ」 しどろもどろなのは自分でも認めよう。 しかし、健介は冷静なままで返答する。 「祐奈には悪いけど、雅かな。 俺、正直、女と付き合うのは面倒なんだ。 でもお前となら大丈夫かなって」 うああ…。 いや、それって絶対に 『好きか嫌いか』の判断基準じゃなくて、 『面倒か面倒じゃないか』だよね?? 反論しようとする私を遮って、 何故かヒートアップした芳がこう言った。 「アホか?! おいこら健介、均衡を崩すなよ。 仲間内でそんなことを言い出されると、 こっちが気を遣うだろ?!」
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