3.ここから

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そしてそのまま立ち上がり、 トイレへと行ってしまう。 私は健介と2人きりになり、 気まずい静寂が訪れた。 サクサクサク…。 もうお腹一杯なのに、 この間をどうにか保たせようと 頑張ってイカの串揚げを食べる私。 ぐにょぐにょぐにょ。 今年はイカが不漁らしいからねー。 きっとこれ、冷凍モノなんだろうなあ。 なんか、噛んでも噛んでも飲み込めない。 きっと私の顔は、 下半分だけ不格好に歪んでいるであろう。 …などと頭の中でいろいろ考えていると、 健介がグラスの水滴をその指に乗せ、 私の方へと飛沫をとばす。 「安心しろ、俺は雅に惚れてないから」 「んごふふ」 サザエさんのエンディングみたいな 声が出てしまったのは、 驚きの余りにイカを飲み込んだからで。 なぜ思わせぶりなことを言ったのかと 責めるように健介を睨みつけると、 彼はシャアシャアとこう答えるのだ。 「お前らを見ているとイライラすんだよ。 だって絶対に雅は芳のことが好きだろ?」 「すっ、好きじゃないよッ」 「バーーカ! 何年観察してると思う?3年だぞ、3年。 さすがにどんな間抜けでも気づくっての。 …あ、ごめん。 雅の大好きな芳君は気付いてないか。 アイツさ、ある意味尊敬に値するよな。 どう考えても両想いじゃん、お前たち」
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