3.ここから

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>雅?! >おい、まさか俺を追い掛けて >来たんじゃないだろうな? 久々の対面だというのに、 冗談なのか本気なのかも分からない 相変わらずの口調でそう言われて。 だから思わずムッとして、 こう即答したのである。 「うぬぼれないでよ。 アンタなんてもう、 好きでも何でも無いから」 この時の私は本当にそう思った。 時間というのは実に有難いもので、 あんなに好きだった男を見ても、 『こんな顔だっけ?』と感じる程度。 たぶん、光正と付き合ったことにより、 その記憶の多くが 彼に塗り替えられてしまったのだろう。 本で例えると、内容は忘れたのに タイトルだけが記憶に残るのみ。 そう、“好きだった”という 記憶だけが…。 そして痛感した。 やはり何だかんだ言って、 私達は気が合うのだ。 自販機での最後の二択が いつも同じだったように、 就職先に選んだ会社まで同じだなんて。 そうは言っても、 距離は置こうと考えていたのだが、 入社後の指導担当者が同じで 私と芳はその人から妙に気に入られ。 なぜか2人とも営業部へ配属決定。 その人こと滝沢主任の元で働くことに。 仕方なく改めて関係を築き、 こうして再び友達になったワケだ。
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