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入社してから3年が経過し、
その間に芳は彼女を3人も変えた。
まさに1年に1人というペースである。
恋は苦しいもの…などと、
真剣な目で語っていた男は
いったい何処へ消えてしまったのか。
傍から見ていると
芳の恋愛は驚くほど軽く。
“去る者は追わず来る者は拒まず”
といった感じである。
今回の舞美ちゃんとも
きっと長くは続かないだろう。
呆れ顔で健介が突っ込む。
「芳、お前なあ。
アイドルのナントカちゃんに似てるって、
付き合い始めた頃は自慢してたクセに。
忙しいとか言って、
舞美ちゃんと会ってるのは月2くらいか。
そのクセ、雅とは平日だけじゃなくて
土日も会ってるんだろ?
…おかしいって」
これは毎回言われることで。
その都度、芳はこう弁解するのだ。
「うるせえな。
雅といる方がラクなんだから
仕方ないだろ。
だって舞美に
仕事のグチを言えるワケないし。
アイツ、俺のこと王子様みたいに
思ってるんだぞ?
夢を壊しちゃ悪いじゃん。
その点、雅は俺の弱い部分も
全部知ってるしさ。
女として意識せずに一緒にいられる、
貴重な存在だよな、ウン」
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