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だってラクなのだから仕方ない。
お互いどんな相手といるよりも
気を遣わなくて済むのだ。
そう、異性であるにも関わらず
互いのマンションに出入りして、
朝まで飲んだり喋ったり。
それは時に祐奈や健介を
交えることもあったし、
他の誰かが加わることもよくあった。
とにかく私達は、
いつでも賑やかに過ごしていたのだ。
>結局、高橋さんって、
>どっちを狙ってるの?
…他の女性社員たちから、
そんな質問を受けたのは
一度や二度では無い。
どうやら芳は、
傍から見るとイケメンの部類に
入ってしまうらしく。
健介の方も知的なイメージが浸透し、
一部の女子から絶大な人気を誇るとかで。
二大アイドルに最も近い女として、
美人の中原祐奈さんは当然ながら、
平凡な高橋雅のヤツはどうやって彼らに
取り入ったのか興味津々といった感じだ。
そんなとき決まって私はこう答える。
「芳…井崎くんには彼女がいるし、
橋口くんの方は仕事に夢中みたいですよ。
それに私、あの2人から、
女だとは思われていませんから」
…そうすると女子たちは必ず
同情の目でこちらを見て、
もう私を問い詰めることを
しなくなるのだ。
うふうふキャッキャと
足早に去っていくその後ろ姿を見て、
ふと切なくなってしまう。
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