3.ここから

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…… 「なんでだよ」 「予定が入っちゃったからだよ」 「仕事かよ」 「そんな感じだよ」 案の定、ドタキャンを告げると、 芳は分かり易く拗ねた。 とにかく自分を優先して欲しいのだろう。 そして私もこの男を甘やかし過ぎていた。 金曜の夜なのに、 どうしてアンタは彼女といないのか。 なんて愚問過ぎて もう訊く気すら起きないが。 とにかく私と芳と健介の3人は、 激安の串カツ屋で飲んでいた。 祐奈は家族仲が異常に良く、 今日はお姉さん夫婦の家で 食事するとかで不在だ。 「…ほんとスゴイよねえ、祐奈んとこ。 お姉さんの結婚記念日に、 ケーキとお祝いの品を持って行くなんて。 新婚2年目でしょ? 妹とは言え、邪魔にされないのかなあ?」 強引に話題を変えようと試みたが、 その野望は呆気なく握り潰されることに。 「雅、何の仕事か言えよ」 「う、え、ああ?」 仕事を言い訳に出来ないのは 既に分かっていたのである。 だって、芳も私も 同じ業務内容なのだから。
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