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「別に私はあなたにもてさえすればそれでいいです!けれど、やはりちょっと兄として劣等感はありましたよね。それでも彼は私を慕ってくれて、そんな風に見ていてくれるのなら、それに恥じない兄でいようと思ってできたのが今の私です」
「そっか、んふふ。俺にとってもお前は世界一格好いい男だけど、それに俺より先に気付いてる人間がいたのはちょっと悔しいな」
「私、ちゃんと格好いい男になれていますか?」
普段はにこにこしているだけの優男でも、いざという時にはちゃんと頼れるナダールは本当に格好いい男だと思うのだけれど、本人に自覚はないらしい。
「うん、お前は格好いい男だよ。だからもう少し自分に自信を持て」
「自信…自信ですかぁ。なかなか難しいですねぇ」
そう言ってナダールは俺の体に自分で付けた鬱血を撫でていく。
「こら、くすぐったい!今日はもうやらねぇぞ!」
「分かっていますよ。ただ今日もたくさん付けてしまったなぁ…とね。私はやはり自分にはあまり自信がないのです、だからこうやって無意識に人に牽制するように痕を付けてしまうのです。あなただけは誰にも譲れなくて、私の物だという自己主張ですかね。付けられるあなたの方はたまったものではないと思うのですけど、申し訳ないです」
「なに、これそう意味なの?」
「まぁ、恐らくは。自制しているつもりでも止まらないので」
そういえば最初に噛み痕付けられた時も所有印とか言ってたっけ。
「だったら俺も付けとこう」
「へ?痛っっ!ちょっと何を!!」
おもむろに、ナダールの首筋に縋りついて噛み付いた。
「所有印、お前ばっかりじゃずるいだろ」
「私はあなたと違ってもてませんから平気ですよ」
「俺だって最近はそれ程でもないよ」
「でもあなた最近サリサさんと仲良いじゃないですか、カズサとも茶飲み友達になってるの知ってますよ」
「2人共Ωだから安心だって言ったの、お前だよ」
「それでもよく考えたら2人共女性ですよ!男女の友情が成立するのか否かというのは人類の永遠の課題ですよ!」
拳を握って力説するナダールになんだか呆れてしまう。
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