番外編⑤ 運命のご挨拶

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ファルス国王陛下のランティス訪問の期間は一週間で、残りの期間俺と子供達はナディアさん家族やデルクマン家の子供達に誘われてあちらこちらへと連れて行って貰った。 時には心無い言葉を投げられたりもしたが、それには毅然とした態度でいたら、その後は何も言われなかった。 メルクードを旅立つ日、アジェとエドワードもルーンへ帰ると同じように旅装束で俺達を街外れで待ち構えていた。 「あぁ、お前達も帰るのか」 「うん、最後に僕グノーに言っておきたい事があって、待ってた」 「ん?何?」 「僕、絶対グノーの友達やめる気ないから!」 「…は?」 突然何を言われたのか分からずに首を傾げる。 「エリィに僕言われたんだよ、あんな奴と付き合うなって、お前は俺の双子の弟でランティスの人間だからメリア人と付き合うことはない!ってさ、もうあったまきちゃってエリィには関係ない!って喧嘩しちゃった。グノーもエリィに会ったんでしょう?ごめんね、きっとエリィ嫌な事言ったよね。でも僕はずっとグノーの友達やめる気ないから!」 「喧嘩…したのか?」 アジェとエリオット王子は長い事離れ離れに暮らしていて、それでもお互い仲良く交流を続けている事を俺はアジェからの便りで知っていた。 その兄と俺のせいで喧嘩をしたと言うのだから、心中穏やかではない。 「うん、でもあれはエリィが悪い、僕絶対謝らない!」 「せっかく仲良くなれたんだ、そんな俺の事で仲違いなんて…」 「平気だよ、致命的な喧嘩じゃないし、エリィも少しは反省すればいいんだ。でもこれだけはグノーに伝えておきたかったんだ、僕はずっとグノーの友達で親友だから、忘れないで」 俺の手を握ってそう言ったアジェの手に自分も掌を重ねて素直に「うん」と頷いた。 子供達は少し怯えてナダールに引っ付いているのは、きっとアジェの事をエリオット王子と混同しているせいだろう。 俺が2人を手招くと、恐々と寄って来て、2人揃って俺の背後に隠れてしまう。 「この人はママのお友達。この間同じような顔した怖いお兄ちゃんがいたけど、ちゃんと別人だから覚えておいて。匂い嗅いでごらん、違う人だろう?」 2人はおそるおそるその匂いを嗅いで「あ、違う」「ちがうねぇ」と頷きあった。
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