みかんとこたつと君と僕

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「冴子、あのな」 「どうしたの?」 「ありがとう」 本当にどうしたの? と言った顔で冴子は僕を見つめる 「僕達には子供がいないだろ? その原因が僕であるとわかったとき、 冴子と一緒にいていいのかな、って 悩んでたんだ。」 じっと、冴子は聞いている うん、君はそういう人だ だから好きになったんだ 「女性としての幸せを、ひとつ僕は奪う事になる。 でも、僕は君が好きだから、 一緒にいようってなった時に、 君にとって僕は かけがえのない家族であろうと決めたんだ。」 「私は、京平さんと一緒ならそれで十分。 それが私の幸せだって言ったじゃない。」 「でもさ、夫婦って別れられる家族じゃんか。 僕は冴子と血の繋がった人間じゃないから 子供以上に強く結ばれることは 無理なんじゃないかって思ってたんだ。」 「…寂しいこと、ゆうのね。」 あぁ、ごめん そんなつもりじゃなかったんだ 「だからこそ、 かけがえのない家族になろうって 思ったんだよ。」 「ねぇ、京平さん 京平さんのいう家族ってなぁに?」 「うん、それなんだよ。 君と結婚して、ずぅっと考えてきた。 家族ってなんなんだろうって。」 「ふふ、答えのないままここまで来たのね。 京平さんらしい。」 「それがね、今わかったんだ、なんとなく。」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!