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ニート兄妹、決意する
四十九日の法要が終わった――。
法要といっても、会場は自宅。参列者は親戚が数人。列にもならない。
脚の痺れをこらえつつ、坊主の意味不明の唸り声をしばらく聞いたら終わりである。
とにかくこれで、親父が死んでから49日が経過したってことになる。
実にダメな親父だった。
家庭を省みることなく、遊び歩き、息子である俺はおもちゃのひとつ買ってもらった記憶がない。
母は愛想をつかし、俺が十歳のころに出て行ってしまった。
それでもなんら反省することなく、飲む、打つ、買う……。打ちながら飲む。
まったくロクでもない親父だった。
なにせ遺影の写真を探すにも、残っていた写真全部でダブルピースしているため、
なるべくピースが慎ましいものを選んで使用したくらいである。
――そしてなにより無職だった。
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