第一章

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****** 翌日。 学校へ行ったら案の定、クラスメイトYは教室から孤立していた。 可哀想に。 新学期早々、酷い目に合うもんだ。 きっかけは自分だということには勿論気付いていたが、何も知らないふりをした。 だって、面倒臭いし。関わるの。 いじめるのが好きな奴がいじめてたらいい。 自分に向けられている視線に気がついたらしいクラスメイトYが、女子達に話しかける。 「あの、私、何かした、かな?」 「今日髪全然まとまんなくて、最悪ーー」 勿論のこと、無視だった。 クラスメイトFはキャハハハと女子特有の甲高い声で笑う。 教室中が異様な空気で満たされているのが分かった。 そして各々が、その非現実的な雰囲気を楽しんでいた。 善だとか悪だとか、そんなものは関係なかった。 少なくともこの場だけでは、“数”だけが“善”であったから。 ******** すぐに終わると思っていたいじめは、一週間経っても納まる気配はなく、目に見えてエスカレートしていった。 時折、Yに気を利かせた晃太が話しかけていたが、他のクラスメイトが途中でYから晃太を引き剥がしておしまいだった。 そういえば晃太の他にも、誰かがしつこくYに話し掛けてた気がする。 そう、確か、クラスメイトH。円城敏幸。 そいつもまた、クラスカースト最下位に位置する人間だった。 それがなお一層、Yへのいじめを加速させた。 付き合ってんじゃねーの。あの二人。 誰かが言った。 そうなのか、と心の中で嘲るのと同時に、 そんな訳がない。と警報を鳴らす自分がいた。 なんにせよ俺はその光景を、蚊帳の外にいるような気持ちでただただ眺めていた。
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