星追い

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_________________________  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 「渡辺 理宇(りう)──宇宙の(ことわり)か。良い名前だな」  一夜明けた放課後。イーゼルをふたつ担いだ僕に、前を行く東堂が言う。屋上へと続く階段は薄暗い。 「そうかな。小学校で割と早く習う字だったから、もう自分の名前を漢字で書けるんだぞって得意反面、ちょっとつまんなく思ったくらいだったな。それに『リウ』って言いにくいから、他のヤツらはリュウって呼んでるし」 「へえ、宇宙を翔ける龍か。ますます絵になる」  はははと屈託なく笑う東堂は楽しそうだ。昨日の元気のないあの様子はどこへやら、今は絵の具や水入れで塞がった手の代わりに、肘を上手く使って屋上のドアを開けている。 ガコンと重い音と同時に、薄暗い踊り場に午後の日差しが洪水のように溢れた。眩しさに数秒、目を細める。  誰もいない屋上。頭上には無限大の空。街を遥かに見晴かす360度の大パノラマ。今、この光景は僕らふたりの貸し切りだ。どこからか響いてくる吹奏楽部の練習が、穏やかなBGMとなって一日に幕を降ろす。風の代わりに頬を撫でるホルン、フルート、ファゴットの音色。 「ここらへんにする? 適当にイーゼル置くから、立ち位置決めながら調整ね。あ、紙は水張りしといたから」
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