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「ただいま、、、、、雄太まだ起きてたのか早く寝なさい」
一度だけ雄太を抱き上げると、そのまま寝る様にと寝室に背中を押しながら教師がしていたが、いう事を聞くはずも無く逃げ回っている姿が見えた。この光景はもう見る事は無いと思っていた為少しだけ感慨深いものが空込み上げた。
「お帰りなさい。パパが返るまで起きるって聞かなくて、さぁもう寝なさい」
「あ!おねぇちゃんだ!おねぇちゃんが帰ってきた!!遊んで遊んで!!」
また明日の朝遊ぼうと約束し、半ば強引に雄太を寝室に押し込める。ようやく教師と美月と向かい合うように四角いテーブルの前に座ると、教師の奥さんがコーヒーを用意してくれた。
「前と同じで良いわよね。お砂糖は二個で、テレビは勝手に見てね」
相変わらず穏やかな笑顔を振りまき、どうしてこんな無口で堅物で面倒くさそうな教師と一緒になったのかと、いつも疑問に思うほどの良く出来た良妻である。コーヒーを飲んだ教師は”面倒な話は明日だ、今日は泊って行け”と言うとすぐさま風呂に入って行った。
静かな薄暗いリビング。生活感に溢れ子供用品や玩具の散らばった室内を見ると、美月がこの家を出た頃の事を思い出した。すると、知らぬ間に教師の奥さんが隣に座って同じ様にコーヒーを飲んでいた。
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