灰色の夢

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 今まで私は天涯孤独で家族は母と二人っきりだと教えられていた。そして父は私が生まれる前に離婚したのだと簡単な話しか教えてくれなかった為、聞いてはいけない事なのだとずっと心にその疑念を仕舞い込んでいた。  真実などこんな物かと思った。父は今では違う女性と結婚し幸せな家庭を持っているそうだ。母と母の弟である男性は、私を生んだ頃から再び少しずつだけ連絡を取り合っていたそうだ。私に万が一が有れば助けて欲しいと。  自然と涙が出ていた。自分が辛いのでは無い。母は本当に幸せだったのかと、自分が居た所為でいつも働きづめで苦労を掛け、最後は何もしてあげられないまま突然居なくなって、母自身も淋しかったのではないのかと。 「こんな話聞きたくはないかも知れない。でも解って欲しいんだ、姉は君を生んで良かったと会う度に言いながら君の事をいつも宝物だと言っていた事を、君が生きていてくれただけで、きっと姉も喜ぶと私は思うんだ」 「、、、、、、ありあとうごじゃいます」  涙で前が見えなかった。まるで心内をくみ取った様な言葉が美月の心を刺したのだった。目の前の男性の言葉を聞いた瞬間に私は決意した。行く当てなど無くずっと此処に住める訳では無かった為、二人の言葉に甘える事にした。
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