灰色の夢

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 初めての三人での食事に少し照れながらも、叔父の奥さんは陽気な方だった為、騒がしくも楽しい食事となった。淋しさはほんの一時ではあったが薄まり、布団に入るまでに沢山の話をした。  叔父と奥さんの馴れ初めから、無愛想だの可愛げがないだのと悪口を言い合いながら笑う姿は、やはり他人であっても家族なのだと思い知らされるように思えた。夫婦とは不思議な物だと思いながら箸は進んだ。 「荷物少なかったけど大丈夫?他に必要な物とかは無いの?女の子なんだし色々物入りでしょう」  そう奥さんが声をかけてくれたが首を横に振った。母の写真と位牌、そして、学校の道具以外は全て絵本だけを持って来た。ほかの物はすべて処分し、衣服も必要最低限着まわせる程度の量である。 「ありがとうございます。でも、本当に必要な物だけ持って来たつもりですので」  仮にも間借りする身である。荷物など沢山本当に持って来ても良いか解らず、現に用意された部屋に全ての荷物は運びきれない。本当に自分に必要な物は位牌と絵本位なのだと荷物整理していた際に気づかされた。  生活は穏やかに流れた。他人であっても家族になれるんだと思えた気がしていた。むしろ、寡黙な叔父と陽気な奥さんだったからこそ、その時は家族になれたのかもしれない。救われたのかも知れない。  しかし、人生とは一匙の幸せを握りしめる事すら困難な時もある。時間は流れ状況も変わる。進学するにつれ些細な出来事で、自分達は他人なのだと思える様な事が積み重なった。きっとそれは今にしては思い込みだったのだろう。  優しくされ甘えていたのだと、後になって後悔する事になる。あんなに大切に思っていたのに、あんなに親切にして貰ったのに、私と叔父夫婦は一つの出来事をきっかけに離れてしまう事となった。
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