魔女になった夜、彼は他人の夢を見る

7/16
前へ
/56ページ
次へ
 そんな日は決まって、二人して別々の本を読むか美月が読んでいるのをただ何となく椅子に座ってスマホを見ながら時間を潰すのである。もうかれこれ通い始めて五回目くらいだと思う重苦しい空気の中何時もの如くだまって空を見ていた時であった。 「先生に言われてきてるだけでしょ。もう良いよ帰って、こんな所に来たら貴方だって学校に行けなくなるよ。何時か近いうちに」  その言葉を聞いた瞬間、怒りが込み上げてきた。が、美月に怒るのはお門違いであり、美月の言う通り本当に学校に行けなくなる状態になっても別に構わないと言う覚悟が有った。 「、、、、、、そうだな。言う通りだ。でもだからと言って俺が何処に居ようが居まいが俺の勝手だろ」  淡々と答える。一瞬怒ったような顔を見せた美月だったが、それもまた違う事を理解していた為、ただ苦虫を噛み潰したかのような複雑な感情のままそっぽを向いた。  美月の担任に言われたのは確かに本当ではあるが、やはり自分が此処に来ている理由はそれだけでは無かった。勿論それは”好き”と言う感情かと言われれば簡単には頷けない関係である。  その日の二人はただ何もしないまま日々が過ぎ去って行った。その日からまた二日でも空くと元気になるかも知れないと思い、引き上げた清士郎だったが次に病院に行った時には何も変わってはいなかった。  もう、冬休みが目の前に来ている。此処に通うか教師に適当な返事をしまうか考えながら、その日も絵本を読みながら時間を潰しながら過ごしていると、また美月が小さな声で話しかけてきた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加