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「ごめんなさい、切らしてしまったみたいね。今日はバターで我慢してね」
「えー」
今日中に作ってくれることを約束し、私は仕方なくバターをトーストに塗り、食べることにしました。
「そう言えば、美咲。進路は決めたの?」
トーストを食べ終える頃、お母さんがコーヒーカップを持って、テーブルのいつもの席に座りました。
「うーん。大体決めたけれど……」
「そう。来週、三者面談があるから、あさってお父さんにもお話しないとね」
私のお父さんは、出張が多い人で仕事人間です。日本全国ならず、時には海外にも出張するので、今も出張中であさってには帰って来ます。
「今日帰って来たら、話すよ」
「そうね、そうしてちょうだい――。あっ!」
お母さんが、コーヒーを飲もうとコーヒーカップを手にした時です。手が滑ったようで、お母さんはコーヒーカップを床に落としてしまいました。
「大丈夫? お母さん?」
「大丈夫よ? 手が滑っただけだから――。それより、美咲急がなくていいの?」
「え!?」
時計の針は、八時を指していました。朝のホームルームまで後、二十五分しかありません。
私は慌てて家を出て、学校まで走ることになりました。
「では、ホームルームを始めます」
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