弁天堂美咲と円環世界《トラースワールド》02

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 「ごめんなさい、切らしてしまったみたいね。今日はバターで我慢してね」  「えー」  今日中に作ってくれることを約束し、私は仕方なくバターをトーストに塗り、食べることにしました。  「そう言えば、美咲。進路は決めたの?」  トーストを食べ終える頃、お母さんがコーヒーカップを持って、テーブルのいつもの席に座りました。  「うーん。大体決めたけれど……」  「そう。来週、三者面談があるから、あさってお父さんにもお話しないとね」  私のお父さんは、出張が多い人で仕事人間です。日本全国ならず、時には海外にも出張するので、今も出張中であさってには帰って来ます。  「今日帰って来たら、話すよ」  「そうね、そうしてちょうだい――。あっ!」  お母さんが、コーヒーを飲もうとコーヒーカップを手にした時です。手が滑ったようで、お母さんはコーヒーカップを床に落としてしまいました。  「大丈夫? お母さん?」  「大丈夫よ? 手が滑っただけだから――。それより、美咲急がなくていいの?」  「え!?」  時計の針は、八時を指していました。朝のホームルームまで後、二十五分しかありません。  私は慌てて家を出て、学校まで走ることになりました。  「では、ホームルームを始めます」     
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