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しかし、夕方だと言うのに、他にいるお客様は大声でしゃべっている女子高生の四人グループと、本を楽しんでいるOL風の女性が一人。後は、パンケーキを食べている中年の男性が一人でした。
「あ、あれですわ。話していたパンケーキ! あの方が食べている」
「ほう、確かに旨そうだな」
「ちょっと、二人とも。そんなにジロジロ見ては失礼ですよ」
生クリームのたっぷり乗ったパンケーキに、シロップをたっぷりかけ、如何にも美味しそうなパンケーキを頬張る中年男性。
見ているこっちが、食べたくなります。
「じゃあ決まりね。すいません、注文よろしいでしょうか?」
数分後、パンケーキを食べながら、雑談ならぬ女子トークが始まりました。
「美咲さん、ここのお店はパンケーキのシロップが豊富なのが有名なの。私はブルーベリーシロップにしますわ」
「私は……メープルシロップにしようかな? 普段、家ではお母さん手作りのマーマレードだから、シンプルなメープルシロップは、あまり食べたことないから――」
テーブルの横にワゴンが運ばれ、十種類のシロップが並べられていました。お好みで、どのシロップを使ってもいいようです。
私たちは、それぞれが別々のシロップを選択しました。
「メープルシロップも旨そうだな。美咲、一口もらうぞ」
「ちょっと、西園寺さん! 美咲さんを呼び捨てにしないで!」
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