甘いキスをして

2/11
303人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
世間はバレンタインデー。デパートの最上階の催事場では、バレンタインデーチョコレートのフェアが今年は1ヶ月も前から催されていた。 私、浅見雛(アサミ ヒナ)も職場の同僚、澤田愛子(サワダ アイコ)に連れられてチョコレートを買いに行った。 26歳にもなって、手作りチョコはさすがに痛いし重いだろうってことで、デパートの高級チョコレートにしようって話になったのだ。 「とりあえず職場全体にはベルギー産のやつでいいよね。個包装になってるやつ。」 職場へのチョコレートは、入社3年目が買う決まりになっている。私と愛子は同時入社のため、当番で女子社員を代表して買いに来たのだ。 「さっ、仕事のやつは買えたし、あとは自分たちのものを買わなきゃ。」 愛子は催事場の人の多さと、デパートの暑さに溜息をついて、グレーのチェスターコートを脱いだ。 コートを脱いだら、濃紺のニットワンピースが露わになる。 スタイルの良い愛子にぴったりとしたニットワンピースは良く似合っている。胸が強調されて、お尻もきゅっと上がって、色気を感じさせる。 そんな愛子には、彼氏ではなくボーイフレンドという男の人がたくさんおり、今日も山のようにチョコレートを購入していた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!