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「ありますよ。私は二階級の魔術師です。二階級が普通だと言われています。三階級が扱えない魔術がある者を指し、一階級が強力な魔術を扱う者とされています。アストさんの場合は初心者と呼ばれる部類です」
「そうなんだ」
「魔力があるのにどうしてなにも知らないのですか? それも過去と関わりがあるというのですか?」
ティアラに訊ねられてアストは逃げ道を探した。魔術師のことを話すということは必然的に出生に関わってくるということを学んだ気がした。
「聞きたくなってしまうのです。いけないクセですね」
ティアラが言った。
「ああ、ごめん、本当に語れる過去じゃないんだ。魔力があることを知ったのは十歳のときだ」
「そうなのですね」
「魔力のことはティアラさんとお姫様だけに話た」
アストは嘘を重ねる。
本音を言えばややこしいことになることを恐れていた。
アストはなぜ自分が魔力を持たずに生まれてきたのか不思議でならなかった。その事実の確認もできていない。自分の出生のことを半分しか知らない。自分の存在事態がややこしいものだとすら思っている。
「わかりました。アストさんはなにも知らないという方向でお話しさせていただきます。知りたいことがあれば聞いてください」
「そういってくれると助かるよ。ありがとう」
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