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「メルラです。宜しくどうぞ」
メルラが一礼する。
「それで、具現屋って初めて聞いたけれど、何をする店なんだ?」
アストも一礼を返して訊ねるとメルラは椅子に腰かけた。
「周りにあるような道具を作るのが私の仕事。主に北に住んでいる獣を討伐、捕獲するために使う道具を生産している」
「でも、魔術師狩りに狙われたりしないの?」
「商業許可は取ってある。弾圧される理由も無いわ」
「なるほど。合法商業なんだね」
「そうよ。夜にしか開かない店だけれど客は来るもの。ただ魔術師には敵でもあるけどね」
「どういうこと?」
「獣を扱うということは魔術師捕縛の道具も作れると言った方がいいかしら?」
「複雑な仕事だね」
「でもブレンディとは付き合いが長いから安心して。話を聞く限り悪魔を倒したいみたいね」
「姫様が連れていかれるそうなんだ。なんとか助けられないかと思って方法を探していたんだ」
アストはメルラに話を聞かせた。
メルラは怪訝な表情を浮かべて話を聞いていた。
アストの話が終わると、メルラはブレンディに眼を向けた。
「随分と厄介な案件を持ち込んでくれたわね」
咎めるような口調のメルラにブレンディが言った。
「メルラの力で悪魔を封じ込めることができたら王様も喜ぶんじゃないかと思っただけさ」
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